防火対象物定期点検
多数の人が出入り等する一定の防火対象物について、所有者賃借人等のうち管理について権限を有する人が、火災予防のために資格者による定期点検を行ない、その結果を消防機関へ報告する制度です。※この制度と消防用設備点検報告制度は異なる制度であり、この制度の対象となる防火対象物では双方の点検、報告が必要となります。
特例認定制度
防火対象物の管理権原者が、消防機関に申請してその検査を受け、一定期間継続して消防法令を遵守し基準に適合していると認められた場合、防火優良認定を受けている旨の表示を付することができ、点検・報告の義務が3年間免除されます。
点検ポイント
- 防火管理者を選任しているか。
- 消火・通報・避難訓練を実施しているか。
- 避難階段に避難の障害となる物が置かれていないか。
- 防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていないか。
- カーテン等の防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示が付けられているか。
- 消防法令の基準による消防用設備等が設置されているか。
点検報告が必要な防火対象物
防火対象物 | 点検結果報告 | ||
---|---|---|---|
一 | イ | 劇場、映画館、演芸場、観覧場 | 1年に1回 |
ロ | 公会堂、集会場 | ||
二 | イ | キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、これらに類するもの | |
ロ | 遊技場、ダンスホール | ||
ハ | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗(一(イ)、二(ニ)、四、五、九に掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く。)その他これに類するものとして総務省令で定めるもの(ファッションヘルス等) | ||
二 | カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令で定めるもの(カラオケボックス、漫画喫茶、インターネットカフェ、複合カフェ、テレフォンクラブ、個室ビデオ等) | ||
三 | イ | 待合、料理店その他これらに類するもの | |
ロ | 飲食店 | ||
四 | 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場 | ||
五 | イ | 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの | |
六 | イ | 病院、診察所又は助産所 | |
ロ | 老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム(主として要介護状態にある者を入居させるものに限る。)、介護老人保護施設、救護施設、乳児院、知的障害児施設、盲ろうあ児施設(通所施設を除く。)、肢体不自由児施設(通所施設を除く。)、重症心身障害児施設、障害児支援施設(主として障害の程度が重いものを入所させるものに限る。)、老人福祉法第5条の2第4項若しくは第6項に規定する老人短期入所事業若しくは認知症対応型老人共同生活援助事業を行う施設又は障害者自立支援法第5条大8項若しくは第10項に規定する短期入所若しくは共同生活介護を行う施設(主として障害の程度が重い者を入所させるものに限る。ハにおいて「短期入所等施設」という。) | ||
ハ | 老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センター、有料老人ホーム(主として要介護状態にある者を入居させるものを除く)、更正施設、助産施設、保育所、児童養護施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設(通所施設に限る)、肢体不自由児施設(通所施設に限る)、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、身体障害者福祉センター、障害者支援施設(主として障害の程度が重い者を入所させるものを除く)、地域活動支援センター、福祉ホーム、老人福祉法第5条の2第3項、第5項に規定する老人デイサービス事業、小規模多機能型居宅介護事業を行う施設、障害者自立支援法第5条第6項から第8項まで、第10項、第13項から第16条までに規定する生活介護、児童デイサービス、短期入所、共同生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助を行う施設(短期入所等施設を除く) | ||
二 | 幼稚園又は特別支援学校 | ||
九 | イ | 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの | |
十六 | イ | 複合用途防火対象物のうち、その一部が一から六、九に該当する用途に供されているもの | |
十六の二 | 地下街 |
防火対象物収容人員 | 点検報告義務の有無 |
---|---|
10人未満 | 点検報告する義務はありません。 |
10人以上 30人未満 |
1、2に該当する場合は点検報告義務がある。 1.①、②に該当し、特定用途に供される部分が「避難階以外の階」に存する防火対象物 ①上表の六(ロ)の用途に供される防火対象物 ②上表の六(ロ)の用途に供される防火対象物が存する上表十六に掲げる防火対象物 2.当該「避難階以外の階」から避難階又は地上に直通する階段が1のもの |
30人以上 300人未満 |
次の1及び2に該当する場合は点検報告義務がある。 1.特定用途に供される部分が「避難階以外の階」に存する防火対象物 2.当該「避難階段以外の階」から避難階又は地上に直通する階段が1しかないもの |
300人以上 | 特定用途、十六及び十六の二に掲げる防火対象物には点検報告の義務がある。 |
防災管理点検
防災管理対象物の全ての管理権原者は、防災管理点検資格者に防災管理上必要な業務等について毎年一回定期的に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告することが義務づけられました。(消防法第36条)※火災だけではなく、”地震”や”毒性物質事故”などの災害に対し、避難訓練や自衛消防組織の設置・運営を行い、その内容について点検し報告する制度です。
点検報告義務違反をすると30万円以下の罰金、または拘留が科されることがあります。
防災管理点検

管理権原者の義務(事業所毎)
- 防災管理者の選任
- 自衛消防組織の設置
- 防災管理定期点検結果報告書を消防署長等へ報告
防災管理者の主な業務
防災管理に係る消防計画の作成
- 地震時の建物や在館者の被害想定とその対策。
- 特殊な災害時の通報連絡や避難誘導と被害軽減の対策。
自衛消防組織の設置
防火対象物や事業所の用途、規模、収容人数等の状況に即した 防火対象物全体にわたる「防火対象物自衛消防隊」と事業所ごとの 「事業所自衛消防隊」の2つの自衛消防を組織します。
避難訓練の実施
防火対象物や事業所の用途、規模、収容人数等の状況に即した 防火対象物全体にわたる「防火対象物自衛消防隊」と事業所ごとの 「事業所自衛消防隊」の2つの自衛消防を組織します。
消防計画内容の検証およびその結果に基づく計画の見直し
消防計画に沿った避難訓練や被害想定に応じた訓練を行い、 訓練の結果を踏まえた継続的な消防計画の見直しや検証を行います。
被害の想定及び対策
地震時の被害想定や被害対策を行います。 特殊な災害時(大規模事故・テロ等による毒性物質の発散等)の通報連絡や避難誘導を行います。
自衛消防組織が行う活動内容
地震、その他の災害に対し、それぞれ消防機関への通報、消火活動、避難誘導、救助、応急救護等を行います。
- 「管理権原者の業務(管理者の選任等、自衛消防組織の設置、点検報告)」、「防災管理者の業務」に係る全ての内容について、適切に行われているかを点検します。
- 書類審査、建物点検及び管理権原者、統括管理者、防災管理者の方々と面接を行います。
定期点検までに必要な書類
- 防災管理再講習の修了証の写し
- 防災管理に係る消防計画の届出に関する書類の写し
- 防災管理者選任(解任)届出書の写し
- 共同防災管理協議事項届出書の写し
- 自衛消防組織設置(変更)届出書の写し
- 防災管理定期点検結果報告書の写し
- 防災管理定期点検報告特例認定申請書の写し
- 管理権原者変更届出書の写し
- 防災管理に係る消防計画に基づき実施される事項の状況を記載した書類 等
再度届出が必要な変更内容
- 用途の変更
- 建物所有者又は経営者の変更
- 防火対象物構造及び規模の変更
- 店内の内装やレイアウトの変更
- 収容人員の変更
- 公開時間又は従業時間の変更
必要な資格(講習)
業務担当者 | 必要な資格(講習) | 他講習修了の有無 | 取得の為の講習 |
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防災管理者 | 防災管理講習 | 甲種防火管理講習を受けたことがない方 | 防火・防災管理新規講習 |
甲種防火管理講習修了者 | 防災管理新規講習 | ||
統括管理者 本部隊の班長 |
自衛消防業務講習 | 防災センター要員講習を受けたことがない方 | 自衛消防業務新規講習 |
防災センター要員受講修了者 | 自衛消防業務追加講習 |
- 防災管理者又は総括管理者として必要な学識経験を有する方は、講習を受講しなくとも防災管理者又は統括管理者・本部隊の班長の資格を有します。
- 資格を取得後、5年以内ごとに再講習を受講する必要があります。